屋形船とは、主に船上で食事や宴会などを楽しむ和船のことをいいます。この船には屋根と座敷が備えられています。貴族の舟遊びに利用されていた平安時代からその原形があるとされており、それが現在でも引き続き多くの人に利用されています。
全盛期と言われた頃から衰退までの歴史江戸時代になると河川の整備が進み、その頃にこの船はいちばん栄えていました。大名や豪商などが春のお花見や夏の花火、秋にはお月見などの遊びに愛用していたそうです。特にこの頃の隅田川の屋形船は、金や銀、漆などの装飾で飾り立てられた豪華なものだったようです。
しかし、1680年頃までが全盛期となり、その後の大船の建造の禁止によって衰退が始まったとされています。その後は明治維新の後も引き続いて親しまれはしたようですが、第二次世界大戦後徐々に勢いを失ってしまいました。
さらに戦後復興、高度成長期に入ると、今度は河川の水質の汚濁や護岸工事の影響から衰退の一途をたどることになってしまいました。
一時期はほとんどその姿を見ることはなくなってしまった船ですが、そのまま終わりとなることはありませんでした。息を吹き返し始めたのはバブルの時代と言われた1980年代の頃です。この頃になると河川の環境も改善されました。
そして、この舟遊びはこの時代が背景ともなる豪華な遊びとして注目されたようです。それからはエアコンやカラオケなどの設備も付いた現代風の船として続々と出てくるようになったと言われています。それが現在に引き継がれ、四季折々に様々な楽しみ方ができるようになっています。
また、船からの景色を堪能するだけではなく、食事も楽しみのひとつとしている人も多くいます。船上で食べる揚げたての天ぷらや新鮮な海の幸は格別だという人が多くいます。
なこの船は15人から80人程度まで乗船することが可能です。船の操縦や調理をする場所を除いて大半が客室となっています。利用は団体の貸し切りが一般的ですが乗り合いもあります。昼間は春のお花見、夜は夏の花火大会、春と秋は夜景観光のコースが多くなっているようです。
乗船時間は2時間程度ですが、3時間くらいのこともあります。東京の隅田川には周辺に多くの船宿があります。屋形船と言えばこの川というイメージを持っている人も多くいます。
川には多くの橋がかかり、中には歴史ある橋もあります。その橋をくぐるのも楽しみのひとつです。江戸時代、特に豪華だったのがこの川の船だったという隅田川でその歴史は今でも続いていると言うことができるようです。