その原形は平安時代にさかのぼると言われているくらい古い歴史を持つ屋形船は、現在は船上で食事や宴会をして楽しむ船として利用する人も多くいます。屋根付きの船の長さは20m前後あり、15人から80人くらいまで乗船することができます。操船や調理など若干の業務用の部分の他はほとんどが客用の座敷となっています。船の乗船時間はおよそ2時間から3時間で、食事とお酒や飲み物がで出るものが多くなっています。お花見や花火大会、夜には夜景の観光など1年中四季折々の楽しみかたができるとしてリピーターも多くいるようです。利用法は個人での予約や空いているときはいつでも乗り合いができる船もありますが、大半は団体の貸し切りとなっています。直接船宿に申し込めば乗船できますが、最近は近隣のホテルの宿泊のパックに組み込まれていたり、バスのツアーなどのコースに入っていることも多くなっています。
この船が特に盛んだったのは江戸時代だったということもあり、東京には屋形船の船宿がたくさんあります。地元の企業などで行うお花見や宴会などに利用する場合は直接申し込むことになります。一方で東京に観光に来た人たちが利用する場合は、その多くがツアーなどの日程に含まれているようです。要するに東京の観光地めぐりには必ずといっていいほど屋形船の乗船が組み込まれているということになるようです。そのくらいこの船は一般的な観光の場所になっているということも言えるでしょう。昔から浮き沈みを繰り返しながらも延々と続いてきたこの船は、現在では日本の伝統文化のひとつとしてしっかりと息づいていると言われています。河川の環境も昔よりは改善されていることとともに、船の設備もエアコンやカラオケなどが完備され、現代型の船ともなっています。
乗船の楽しみは河岸からではない船からの景色を見ることだけではありません。もうひとつの楽しみが食事だと言われています。和食中心の食事となっていますが、新鮮なお刺身や、船内で調理された揚げたての天ぷらは非常に喜ばれているようです。また、最近は和和食の他にもフレンチや中華などのコース料理を出してくれる船もあります。ただ、昼間乗船するツアーの場合はコース料理ではなくお弁当が出されることもあります。宴会などではなく観光が目的の場合は、あらかじめ料理の内容なども組み込まれていることが多くなっているので、コースのランクを変更することは難しいようです。けれども観光目的での利用は、料金の面ではすべて組み込まれているので、お得に乗船できることが多くなっているようです。